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実物にはインパクト、またピクチャーカードも必須──靜さんの論文を読んで(6)

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実際にやってみると、いろいろな発見がありました。やっぱり、実際に授業で子どもたちとやり取りするのはおもしろいですね。教壇に立っていたときのように少し工夫をしてみました。
たとえば、導入のときにはびっくり感が必要です。そこで、ある授業の前には、かばんの中に実物のリンゴ2個とバナナ1房、それから某アイスクリームの空きカップとおもちゃのケーキを入れておきました。
「お腹が空いたかな。私はペコペコ。I have some desserts here in my bag.  I like these desserts.  What do I like?」などと言いながら、袋に手を入れ、ほんのちょっと、リンゴの頭を袋から出します。私の手元を見ている子どもたちは「え~?」「なんだろう」「リンゴ!」などと大騒ぎです。
次に、リンゴ2個を袋から出し、"That's right.  Apples.  I like apples." と言うと「リンゴだ!」「本物!」と声が返ってきます。そこで、「そうだね。じゃあみんなで言ってみようか。 Apples.  I like apples.」などと付け加えると、"Apples.  I like apples." と子どもたちは言います。そして、ババナやアイスクリーム空きカップ、おもちゃのケーキと続きます。
何回か終えた今、「実物はインパクトがある」ことに加えて、強く感じているのは次の2点です。どちらも当たり前といえば当たり前のことです。
・カナ表記がピクチャーカードにあったほうが子どもたちは安心して英語活動に取り組めるようだ。
・子どもたちの発音のモデルは、指導者(ここでは私)の発音。

●カナ表記がピクチャーカードにあったほうが子どもたちは安心して英語活動に取り組めるようだ。
黒板のピクチャーカードには、リンゴ、バナナ、アイスクリーム、ケーキの絵が描いてあります。子どもたちはそれを見ながら、「そうだ、リンゴにしよう」「バナナかな」などと考え、それについての英文を話します。ですから、ピクチャーカードは必須です。
また、子どもも「アップル!」とは発音せず、「アポゥ」としていたようです。もちろん、これまでの生活で「リンゴは英語では実はアップルではなくアポゥなんだ」と知っていたかもしれませんが、もしかすると、「リンゴはアップルだけれど、タカザワ先生の発音はアップルではなかった。カードを見ると……そうだ、アポゥズだ!」などと思ったのかもしれません。
2点目の●については、次回触れます。

[注釈その1]
実践の場としては、だいたい20人くらいの小学生を相手にした5~10分くらいの活動です。
もちろん小学校の授業は45分ですが、先生たちも最初から最後までずっと同じことをやっているのではなく、5~10分くらいの活動を積み木やブロックのように組み合わせていくことがほとんどです。私の取組はその積み木1個か2個分くらいにあたります。
また、今回の活動は単純な反復練習ばかりではありません。黒板に貼った何枚かのピクチャーカードを見ながら、自分で工夫して英文を発話したり、英文を聞いて判断するものが中心です。
[注釈その2]
リンゴが2個でバナナが一房だったのは an apple, a banana ではなく apples, bananas としたかったからです。
[注釈その3]
活動で使用した実物のリンゴとバナナは何回か使ったあと、自費で購入したものだったので自宅でよく洗い、おいしくいただきました。また、アイスクリームのカップが空だったのは、活動中に溶け出すと大変なので、前日に自宅で私が食べたからです。これも、自分の財布でまかないました。もちろん、もってくる前にはしっかりと洗いました。ケーキも実物を用意したかったのですが、腐らせてしまってはもったいないため、おもちゃにしました。自費で教材を用意することは避けるべきですが、自分の腹の中に入るものは自費で賄うほうが自然です。
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by tawashisroom | 2021-06-19 10:00 | 英語教育