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音読の声は大きければいいのかな──ネズミの声、ゾウの声

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文部科学省直山木綿子教科調査官のお話を聞く機会がありました。小学校の外国語活動についてのお話でしたが、中学校の英語の授業でも活用できることがいろいろありました。小学校の外国語活動と中学校の英語教育とは、直接の目標は異なるものの、指導においては互いの参考となるところが多々あるので、互いのことをもっと知っておいた方が先々役立つと思います。

もっとも印象に残ったのは、英語を話すときの声の大きさについてのご指摘です。概要は次のとおりです。
外国語活動の時間では、教師と子どもが、突拍子もなく大きな声で英語であいさつしたり、英単語や表現を繰り返したりする場面が見られますが、国語や社会の時間ではそのようなことはない。むしろ、「隣の人と話すときはネズミの声、グループで話すときはネコの声、教室で話すときはクマの声、体育館で話すときはゾウの声」など、小学校の授業で日ごろから心がけていることに基づいて活動を進めてほしい。外国語活動を特別扱いしてはいけない。

聞いていてハッと思ったお話です。「音読の声は大きくなくてはいけない」と思い込んでいた自分の拙さに気がつきました。

なぜそう思い込んでいたのでしょうか。これまで考えたことを振り返ってみると、次のような理由が浮かび上がってきます。

ア 英文の意味と読みがわかっていれば、音読できる。つまり、音読できないのは、英文の意味と読みがしっかりと分かっていないためだ。理解しているか確認するために、音読を行おう。
イ 英語を話すとき、声が小さいと相手に聞こえない。大きな声で英語を話す練習として音読を行おう。
ウ 音読をチマチマした声でやっていると、授業の雰囲気が盛り上がらない。どうせやるなら威勢よくやろう。

アについてはある程度はそのとおりなのですが、理解確認のためだけに音読というのは芸のない話で、もっと工夫をしなくてはいけないところです。

イもそのとおりなのですが、直山先生の言葉を踏まえると「クマやゾウの声で話すことを練習する必要があるのか」ということがカギとなります。

ウは、今、考え直してみると、論外のことかなと思います。雰囲気を盛り上げるためにはこれ以外のやり方はたくさんありますし、教師だけ大声で範読し、子どもは蚊の鳴くような声で読む状況になるのが落ちです。

自分自身、音読を大きな声で行うためには「何のために音読をするのか」「その音読が、次のどんな活動に役立つのか」がカギであることは分かっていたつもりだったのですが、それでも「音読は大きな声で行わなければならない」という先入観にとらわれていたことに気がつきました。直山先生の話を聞いて得た収穫の一つです。
by tawashisroom | 2009-07-09 22:02 | 英語