Welcome to Tawashi's Room 雑記帳


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体験とは気付いて、発見して、納得すること

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直山先生の話からもう一つ。

英語活動で、子どもが何かに気付き、発見して、そして納得したときに「体験」となるということを、わかりやすく具体例を示しながらお話しになりました。何かに触れるだけでは体験には不十分で、そのことに納得すること、言い換えれば腑に落ちること、もっと言えば、手ごたえを感じることが大切だというように私は思いました。(私の思いは的外れなことが多いので困っているのですが)

小学校英語のキーワードともなっている「慣れ親しむ」ためには、体験の積み重ねが必要です。でも、説明するだけでは「体験」にはなりません。「気付き」と「ストンと落ちる」ことが大切です。

中学校の英語の授業でも同様です。文法説明+訳読式の授業の欠点の一つは「気付き」が生まれにくいことがあります。やはり、oral introduction などを通して「気付かせる」ことが、子どもに授業を印象付け、深い理解へ導くのです。

それから、どう「ストンと落とすか」ですね。口頭で説明するだけでは子どもが納得するわけはありません。やはり活動の場面で、成功や失敗を通して感じるものでしょう。その舞台をどうつくるか、そこまでに子どもの力をどうつけるか、教師の腕の見せ所です。

たとえば、「教科書の本文を勉強してよかった」ことを体験させるのにはどうすればよいのでしょうか。

いくつか考えられますが、本文の一部を利用して、自己表現などの言語活動が簡単にできることを経験させることが頭に浮かびます。拙実践ですと、たとえば “Diary of Dreams” に示した、次のような取組です。

本文を学習したあと、次の三つのレベルから一人ひとりに好きなレベルを選ばせ、作文に取り組む。

Level 1: 単純穴埋め完成
英語を書くことが不得意な人向けのヒントです。ほとんどの場合,教科書の本文に基づいています。しかし,生徒の想像力を働かせる余地は十分に残っています。下の例でいえば,話した話題とどこへ行って何を見たのかは全くの生徒任せです。
例 夕食のとき,父と話した。
I had dinner at ( ). After dinner, I talked with my father about ( ). Father said, "Let's go to ( ) and see ( )."

Level 2: open-ended sentences
英語を書くことがやや得意な人を念頭において作りました。文の書き出しはこちらが決めますが,途中から空欄とし,生徒が書き続けます。また,文章の最後も生徒に自由に書かせます。
例 夕食のとき,父と話した。
I had dinner at ( ). After dinner, I talked with my father about … このあと,1~2文続ける。

Level 3: この単語だけは必ず使おう,あとは自由だよ英作文
英文を書くことが得意な生徒はこのレベルを選ぶように助言しました。場面設定と使うべき単語だけを設定し,生徒は自分の想像力を最大限に発揮して文を作ります。
例 食事のとき。誰かと話して,何かした。
said, came, had, spoke, got, stoodの中から3つ以上使うこと

このような取組をすると、「本文を勉強すると、次の作文に役立つな」という実感が生まれます。これこそ、学習の体験と言えるでしょう。
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by tawashisroom | 2009-07-25 09:03 | 英語教育


「教室に小さなアメリカをつくるな」について

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前回に続いて、直山先生のお話を聞いて考えたことです。
外国語活動の時間に月の名前を導入するときに、イースターやハロウィーンを紹介するよりも、菖蒲湯や七五三を紹介することを考えた方がよい。小学校の教室に小さなアメリカやイギリスをつくるのではない。日本の文化に触れながら外国語に親しませる活動が大切である。

思えば、私が中学生だったころの教科書は、登場人物の活躍する舞台は日本ではなくアメリカだったような気がします。その後、教師になってからは、教科書の本文の舞台は日本の中学校になり、日本人の中学生が同級生の外国人と一緒に学校生活を過ごすというものがほとんどでした。中学校英語の教科書の舞台も、外国から日本に移ってきました。生徒たちにとってもその方がイメージしやすく、また、部活動や授業など身近なことを英語で表現するときにも教科書の英語表現が活用しやすかったようです。ですから、中学の英語の教科書でも、小さな外国の世界を教室につくり上げるのではなく、日本の学校などの日本文化を英語で表現することが主流となってきていると感じます。

また、この言葉は、英語の授業をとおして育てたい子ども像をどうするかということにもつながってきます。いわゆる外国かぶれをつくるのではなく、欧米文化の崇拝者をつくるのでもありません。自分の文化を大切にしながら、他の文化を尊重する心を育てようとするものです。

ただ、外国そして外国語というものが持つexoticismは無視できません。英語の授業の魅力の一つです。その生かし方の一つとして、中学校や高校の英語の授業で教師が英語の名前を名乗ったり、生徒が英語名を付けるなどの実践を見たことがあります。教科担任制を取っている中・高では、そのクラスの生徒に授業で会うのは英語の時間だけですので(そのクラスの学級担任だったらどうしているのかなという疑問が今浮かびましたが)、ある程度有効かとは思います。ただ、自分自身はやったこともありませんし、やるつもりもありませんでしたが。

また、外国の文化を集中して取り上げることも、小学校の外国語活動の目標にはあまりなじまないかもしれませんが、中・高の英語教育では「(言語や文化の)知識・理解」という評価の観点があるとおり、十分価値のあるところです。これは、小学生と中学生という発達段階の違いもある程度影響しているかと思います。

exoticismを例に出しながらいくつか述べてきましたが、いずれにしても「小学校の教室に小さなアメリカやイギリスをつくるのではない」という言葉は、中・高の英語の授業づくりを改善するときにも、大きな手がかりになると思います。小学校ばかりでなく、中学校、高校でも役に立つ言葉、まさに、一粒で三度おいしいものです。
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by tawashisroom | 2009-07-12 23:36 | 英語教育


音読の声は大きければいいのかな──ネズミの声、ゾウの声

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文部科学省直山木綿子教科調査官のお話を聞く機会がありました。小学校の外国語活動についてのお話でしたが、中学校の英語の授業でも活用できることがいろいろありました。小学校の外国語活動と中学校の英語教育とは、直接の目標は異なるものの、指導においては互いの参考となるところが多々あるので、互いのことをもっと知っておいた方が先々役立つと思います。

もっとも印象に残ったのは、英語を話すときの声の大きさについてのご指摘です。概要は次のとおりです。
外国語活動の時間では、教師と子どもが、突拍子もなく大きな声で英語であいさつしたり、英単語や表現を繰り返したりする場面が見られますが、国語や社会の時間ではそのようなことはない。むしろ、「隣の人と話すときはネズミの声、グループで話すときはネコの声、教室で話すときはクマの声、体育館で話すときはゾウの声」など、小学校の授業で日ごろから心がけていることに基づいて活動を進めてほしい。外国語活動を特別扱いしてはいけない。

聞いていてハッと思ったお話です。「音読の声は大きくなくてはいけない」と思い込んでいた自分の拙さに気がつきました。

なぜそう思い込んでいたのでしょうか。これまで考えたことを振り返ってみると、次のような理由が浮かび上がってきます。

ア 英文の意味と読みがわかっていれば、音読できる。つまり、音読できないのは、英文の意味と読みがしっかりと分かっていないためだ。理解しているか確認するために、音読を行おう。
イ 英語を話すとき、声が小さいと相手に聞こえない。大きな声で英語を話す練習として音読を行おう。
ウ 音読をチマチマした声でやっていると、授業の雰囲気が盛り上がらない。どうせやるなら威勢よくやろう。

アについてはある程度はそのとおりなのですが、理解確認のためだけに音読というのは芸のない話で、もっと工夫をしなくてはいけないところです。

イもそのとおりなのですが、直山先生の言葉を踏まえると「クマやゾウの声で話すことを練習する必要があるのか」ということがカギとなります。

ウは、今、考え直してみると、論外のことかなと思います。雰囲気を盛り上げるためにはこれ以外のやり方はたくさんありますし、教師だけ大声で範読し、子どもは蚊の鳴くような声で読む状況になるのが落ちです。

自分自身、音読を大きな声で行うためには「何のために音読をするのか」「その音読が、次のどんな活動に役立つのか」がカギであることは分かっていたつもりだったのですが、それでも「音読は大きな声で行わなければならない」という先入観にとらわれていたことに気がつきました。直山先生の話を聞いて得た収穫の一つです。
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by tawashisroom | 2009-07-09 22:02 | 英語教育

    

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