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インフォメーションギャップを埋める活動について

Nov. 12, 2000
インフォメーション・ギャップを埋める活動の必要性は,多くの方が述べているとおりです。インフォメーション・ギャップを埋める活動が実践的コミュニケーション能力の育成に役立つことは確実なのですが,実践するときには結構気をつけることがあるのです。

ぜひ,次の2点に注目してほしいと思います。
1 どうすれば,インフォメーション・ギャップを埋める活動の場面設定が生徒にとって納得できるものになるのか。
2 どうすれば,この活動が容易に実施できるのか。(活動の進め方)

まず,1点目について話します。わたしもいろいろとインフォメーション・ギャップを埋める活動をしてきましたが,どうも生徒のノリが良くないのです。授業のあと反省してみると,活動の場面設定が曖昧で,「よし,やってみようか!」という気に生徒がなかなかならないのです。

たとえば,What time does Tom ... ?を学習したあとで,Kenの一日の流れ(起床時間,食事時間,登校時間……)について2種類のシートを用意し,それぞれうまい具合に時刻を空欄にして,シートをペアごとに配布し,ペア・ワークで互いに質問することでKenの一日の流れをはっきりさせるという活動を実施するとしましょう。なんとか,インフォメーション・ギャップを埋める活動になっていますね。

これで生徒が活動にうまくノルかといえば,そうではないのですね。活動自体は順調に進むのですが,全員の生徒が活動を楽しんでいるとはいえない。互いの質問で教室内は騒がしくなり,一見すると活動が盛り上がっているように思えますが,実は違うんです。

それはなぜかというと,「なんで僕はこんな質問を相手にするのかな?」という疑問が生徒にあるからです。「英語の授業だから」とか「What time does he ...?とその答え方を身につけるため」などのことでは解決しません。コミュニケーションの目的にはなりませんものね。かといって「Kenの一日の予定を知るため」では不十分です。「なぜ,Kenの一日の予定を知らなくてはいけないの?」とか「なんでKenの朝食時間は知っているのに,登校時間は知らないの?」という疑問が次に湧いてくるからです。

このことをうまくカバーして,上手に場面設定をすることは,かなり大変です。例えば,Kenの親と先生が二者面談でKenの毎日の生活について話し,いつ頃家で勉強すればいいのかなどを考え出すなどの場面が例として挙げられるでしょうか。これでも結構苦しいですね。

だから,いつもいい場面ができるとは限らないのですが,5回やったら1~2回程度は上手な設定がほしいですね。特に「なぜ,この問答をするのか」というのは毎回生徒に示した方がいいと思います。

つづいて,その2についてです。活動の進め方ですね。

上のKenの例について読んでみると気がついたと思いますが,この活動は2種類以上のシートが必要になります。それをどのように作り,どのように生徒に配布するのか,このあたりにあまり時間がかかるようだと,活動のpracticabilityが失われます。テキパキとするにはどうすればいいのかということです。

いつもいつもこの2点を気をつけなくてはいけないのではないのですが,でもかなり気になることです。
by tawashisroom | 2001-01-01 07:56 | 英語