Welcome to Tawashi's Room 雑記帳



定着のためのコミュニケーション活動再考

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よく読んでいる Kyle's Kingdom の6/17/2012の記事に「どうせ定着なんかしない」というものがありました。

おおむね賛成することばかりなのですが、一つ気になったことがあります。

be動詞にせよ、過去形にせよ、ある授業で学習したから身につく、というものではありません。なかなか身につかないから、ありがたいことに我々英語教師のしごとがある、わけです。みんなそんなに簡単にすぐ身につくなら我々が失業しちゃうでしょ。

だから、新出事項Aを導入したその時間に、事項Aを使ったコミュニケーション活動をする必要はありません。導入したばっかりのあいまいな事項をターゲットにした information gap などしてもうまくいかないことが多いでしょう。まだ慣れていないのですから当たり前です。

そうではなくて、事項Aを導入した時間は、その事項Aに関しては基本文の機械的トレーニングにとどめておき、もっと高級なコミュニケーション活動は、すでに十分過去に練習してある既習事項B(とC、とDとなど、複数あってもいいですよね)を含むものにするほうがいいのではないでしょうか。そうすれば、そういう既習事項はある程度機械的練習はこなしてきているとすると、より自由度の高い活動をやっても「身になる」度合いが高くなるでしょう。

第1段落は、そのとおりです。さすが、Kyle's Dad さんです。

ただ、第2段落と第3段落の話は、欠点が二つあります。

一つは、授業の最後のコミュニケーション活動は、コミュニケーション習熟というねらいよりはむしろ言語材料の習得に重点を置いているという現在の状況と、うまく整合性がとれていない気がします。(現在、授業をもっていないし、年間140時間制の状況を十分把握していないので、「とれていない」と断言できないのがつらいところです)

二つ目は、「今日は○○をやって、少しわかった」という成就感が生徒に生まれにくいということです。




その一から説明します。Kyle's Dad さんのお話のように、
 「1 新出事項Aの導入」
 「2 Aの機械的トレーニング」
 「3 既習事項Bを使ったコミュニケーション活動」
という流れで授業を組んだ場合、どうしても、「3」の前に「既習事項Bの復習」が「3.5」として必要になってしまいます。そうしないと、既習事項Bについて全員の生徒が思い出すかどうか、わからないからです。生徒はすぐに忘れます。(教師もときどき忘れます)

「そういう場合は『すでに十分過去に練習してある既習事項B」とは言わない」とKyle's Dad さんの指摘が予想されます。ただ、機械的トレーニングのあと、どのような学習活動を「練習」として設定するのでしょうか。私の場合は、Kyle's Dad さんが例としてあげた information gap を使った活動や、その前段階としてイラストなどをcueとして使った活動など、手を変え、品を変えて組み込んできました。

言葉を換えれば、私の授業では、新出事項の導入を取り扱った授業一コマにおいて、授業の終わりにやる活動はコミュニカティブな要素はあるのですが、その主眼は、その事項の習得にあるのです。だから、その活動には、その時間に導入した新出事項が含まれます。

二つ目については、例えば、Kyle's Dad さんのとおりの授業を組んだ場合、授業の最後に、生徒はどんなことを思うのでしょうか。「Aについて練習して、それから活動をやって、Aは使わなかったけれど、なんとかコミュニケーションできた」というような感想になることが予想されます。

こうした感想が積み重なると、「どうせその時間はAを使わないのだから、練習でも手を抜いちゃってかまわないかな」などという不遜な思いが出てくるかもしれません。

それよりも、コミュニケーション活動でも新出事項Aをとりあげて、「Aの練習は大変だったけれども、でも、いつものとおり最後にAを使った活動があったから、しっかり練習しておいてよかった」という感想を生み出したほうが授業構成としては望ましいと感じます。

しかし、
ひとつの事項のコミュニケーション活動を、その事項を導入した時間だけでやっても絶対にホントの意味で「定着」などしないし、ぎゃくに、もうその時間をすぎたらその事項を使う活動がゼロになってしまうのでは、さらに「定着」は遠ざかります。言語はそんなに細切れに扱えるものではないです。

導入する新出事項と、やや自由選択要素を入れて練習する言語材料を、切り離してはどうですか?そうやって繰り返し繰り返し同じ事項にスパイラルに触れることによって数年後にやっと「定着」し始めるのだと思います。
というKyle's Dad さんの指摘にはまったくの同感です。

140時間制という現在の状況をうまく生かして、それまでに練習した言語材料を活用するコミュニケーション活動を要所要所に配置することは大切ですし、そこが教師の腕の見せ所だと感じました。

こんな刺激をたくさんくれるKyle's Dad さんのブログはとても貴重なものだと思っています。
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by tawashisroom | 2012-06-24 19:36 | 英語教育
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