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新しい教科書と英語教師の腕の見せ所

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いつもいろいろな刺激を受けているanfieldroadさんのblog「英語教育2.0 ~my home, anfieldroad~」にまた興味深い記事がありました。

「教科書の役割、教師の役割」から一部抜粋します。
 先日ブログでも書いたけど、新しい教科書は素材だけでなく、それを学ぶためのタスクも多数用意されています。若い教師も増える中で、誰でもすぐに授業ができるような「親切設計」なんだけど、本当にそれでいいの?という疑問があります。そもそもそこが英語教師として一番楽しい部分なのになぁ、という思いもあります。(中略)

 これまでは「よい活動を考えつく教師=すごい教師」って位置づけだったように思うんだけど、別に世の中の英語教師全員がそれぞれオリジナルの、そして効果のある活動を思いつく必要もないわけで、すでにある優れた実践は、どんどんシェアされていくべきだと思います。で、結局、誰のアイディアだろうが、その活動を通して生徒に一番力をつけられた人が「すごい教師」なわけですからね。(中略)

 各教師が知恵を絞ったオリジナルの「活動」を公開するのが巷の「研究授業」では一般的だったんだけど、今度はどうなっていくんだろう? 教科書にある「活動」をそのままやるとして、どんなところに教師としての力量が問われるのか。そういう意味では、来年以降の研究授業が楽しみでもあります。

これまでの教科書を使って言語活動を考えるときの私の準備は、次の通りです。(授業の導入は、また別です。)

1 言語活動について考え、いい活動を作る。
2 「1」の重点・留意点を考える。
3 「2」をふまえて、本文を扱う学習活動と「1」とをつなぐ活動について考える。

新しい教科書になって、1の時間は減ります。ただ、1が自分で考えた活動ではなく、教科書に示された活動なので、2と3の時間は増えるでしょう。

1について補足すれば、これまでも100%オリジナルは、わたしにとってはありませんでした。anfieldroadさんにとっては違うかもしれませんが、わたしの場合は先輩や同僚の実践であったり、研究授業を見て感動したものであったり、英語や国語の授業実践例を書籍で読んで真似したいと思ったものを授業でやってみようと思い、単元を組んでみました。

だから、1については教科書に掲載された言語活動は、単元設定における、ひとつの(そして強力な)手がかりとなるでしょう。結果として、1の時間は減ると思います。

ただ、減るといっても0秒にはならないでしょう。食指の動かない活動であるかもしれませんし、また、年間の指導計画を考えたときに、多少の調整が必要となるかもしれません。そのための時間がある程度必要です。

新しい教科書をざっと見た感じでは、レッスンの本文の取り扱いと活動との結び付きがまだまだ弱いと思います。あれだけでは、私の受け持ってきた生徒たちは活動に戸惑ってしまうでしょう。だから、特に、3については、どんな工夫をするのか、教師の力量がものを言います。

実際、わたしの実践を振り返ってみると、たとえ、自分が考えついたものであっても、最初の考えどおり進んだものは一つとしてありませんでした。生徒の反応を見ながら、授業の流れを変えてみたり、ワークシートを工夫してみたり、口八丁手八丁の取組みが必要でした。

だから、「目の前の生徒に対してよい活動を作り上げることができる教師」がますます大事になるのかなと思います。1をどう行うか、そして本文を扱う学習活動と1をどう繋げるかが、教師の腕の見せ所です。それは生徒と接している教師の仕事であり、教科書会社には任せられません。

ただ、教科書に載っている言語活動は全教師にとって共通の話題となりますし、そこそこの強制力(?)もありそうです。話し合う共通の話題は増えたので、研究授業後の協議などで、同じ土俵で話し合うことが楽になったことは確実ですね。

(あと一つ言いたいことがあるのですが、それはまた別項で)
 →「新しい教科書と教師が「飽きる」ということ」をご覧下さい。
by tawashisroom | 2011-08-11 20:53 | 英語