Welcome to Tawashi's Room 雑記帳



「見せること」は「話すこと」を邪魔するか

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先日、テレビを見ながら朝ご飯を食べていたのですが、何の気なしに音量を0にしてみました。びっくりしました。画面を見ているだけでニュースの内容がほとんど分かるのです。テロップというのでしょうか、映像の中にキーワードが文字で示されているので、見るだけで概要がつかめます。少なくとも、つかめた気になります。おかげで、朝ご飯も早く食べ終わり、バスに余裕で間に合いました。

ただ、これが講義とか発表の場面だったらどうなのでしょうか。聞き手に配付されるプレゼンテーション資料には詳しい内容が載っていることは一つの方法かと思います。ただ、それをMicrosoft PowerPointなどのスライドとして、その場で見せることは、本当に必要なのでしょうか。

自分自身、詳しい内容をスライドにして、それをプロジェクタで見せながら話すと言うことを何度もしてきました。「話すこと」と「見せること」の相乗効果をねらったのです。話した言葉を文字にして見せることで聞き手の心に強く残るだろうと思っていたのです。

本当にそうでしょうか。

聞き手はスクリーンの文字を読むことに精一杯ということがあったかもしれません。「集中して話を聞かなくても、スライドを見ればいいや」と思ったことがあったかもしれません。つまり、「見ること」が「聞くこと」を邪魔しているのです。もしそんなことが起こるのならば、それは大きな間違いです。

そんなことを考えていたとき、「プレゼンテーションzen」(ガー・レイノルズ ピアソン・エデュケーション 2009)という本を読みました。とても収穫の多い本だったのですが、その中に「メッセージが聴衆の心に残るようにしよう」「プレゼンテーションの目的は情報を提供することだけではない」という言葉がありました。目からうろこが落ちる思いがしました。

自分がこれまでに行ったプレゼンテーションは情報の伝達だけに終わっていたことが多かった気がします。もちろん「これを言いたい!」というメッセージはあったのですが、情報の山に埋もれてしまい、目立たなかったのです。

どうすればメッセージが目立つのでしょうか。どうすれば情報がしっかりと伝わるのでしょうか。

今、こう考えています。スライドには「メッセージ」を中心に示し、情報はほとんど載せません。そのかわり、スクリーンに映したメッセージについての情報を口頭で話すのです。こうすることで、こちらが伝えたいことを聞き手は見て、「いったい、どんなことなのだろうか」と疑問に思います。その疑問を解消するのがこちらの話なので、自然にしっかり聞くようになります。

少々、虫のいい話なのですが、とりあえず、手持ちのプレゼンテーション資料を作り直してみましょう。

ここまで書いていたら、大村はまさんの次の言葉が浮かんできました。
よく聞いていても,一ぺんでということは,なかなかむずかしいこと。こういうことはプリントがいいと思うことは,プリントに書いて渡すようにします。そうではない話,これは聞かせようと思う話は聞かせるわけですが,聞かせたことはプリントに刷りませんし,刷ったことは言わない。そういうふうにしています。(中略)こんどの学習のてびきは,話し言葉でやると言いましたら,その話したことはもう書きません。書いて渡したら,話さないようにします。15日に出すと書いてあるのを,15日には出しますなんて,そんなつまらないことを言う必要がちっともないと思って,それは言わないのです。そういうふうにして,ぐっと締まるようにして,学習の指示を続けております。( pp.10~11 「大村はま国語教室2 聞くこと・話すことの実際の指導」大村はま著 筑摩書房 1983 )

これを読んだとき、自分もまねしてみたことを思い出します。こちらの準備が大変で、いろいろ失敗もありましたが、授業は引き締まったことは事実です。

「話すこと」と「見せること」の役割分担は大切ですね。
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by tawashisroom | 2010-01-02 18:36 | 英語教育
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このBlogは拙ホームページ「こんな英語の授業をしています Welcome to Tawashi's Room」の雑記帳です。最初の記事は1998年10月30日でした。
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